職域のがん検診を学ぶ eラーニング

|II|企業・健保向け:企業の産業保健スタッフ

|II-3|シナリオ
PSA検査 編

対象と設定

|対 象|健保の健診担当者

|設 定|登場する人物と企業の概要

菊池
山田
田中
佐藤

A社の概要

  • 通販事業やサービス業を中心に展開する大手グループ企業。
  • グループ全体の従業員数は約5,000名(男女比7:3)。
  • 複数の関連会社を持ち、その中には製造業を担う「XX株式会社(のちのシナリオに登場)」も含まれる。
  • 製造系子会社では40代後半~60代の男性従業員が中心であり、高齢化も課題となっている。
  • これまで胃がん・大腸がん検診は実施してきた。

ストーリー

─ ある日、がん検診のことで話があるということで、田中常務理事が理事長室に呼ばれました。

山田

田中さん、最近は高齢化が問題となっている。うちの健康保険組合の加入者は50代、60代の社員が約半数を占めていて、しかも男性が多い。何かの情報番組で、前立腺がんを調べるための検査として、「PSA検査」というのがあり、手軽にがんを発見できると聞いたことがある。うちの加入者でも前立腺の病気で治療している人をよく見かける。うちの会社は男性社員も多く、また高齢化も進んでいるので、今行っている胃がん検診や大腸がん検診に追加して、PSA検査を加えるのはどうだろうか。

田中

ありがとうございます、山田理事長。現在、保健事業部の方でも社員の高齢化に関する調査を進めております。がん検診としてPSA検査を追加する案については、費用や効果の面からも詳細に検討する必要があります。さっそく、調査を進めて報告書をまとめさせていただきます。

山田

よろしく頼むよ。加入者のがんが早めに見つかって治療に繋がれば、本人にとっても、企業や健康保険組合にとっても良いことだからね。

─ 山田理事長から相談を受けた田中常務理事は、実際の職場で従業員の健康管理を担う立場からの視点も必要と考え、あなた(菊池)に声をかけました。

田中

健保で保健事業部長をしている佐藤さんからは、がん検診にPSA検査を追加する案について、健保の立場からの意見を聞きました。ただ、実際の職場で従業員にどのような影響があるのかは、健康管理部門の視点も必要だと思います。菊池さんはどう考えますか?

菊池

なるほど、重要な問題ですね。検討しますので、時間をください。

ワーク(15分)

あなたは、A社の健康管理部門に所属する産業保健スタッフの菊池です。
田中常務理事から「がん検診にPSA検査を追加すること」について意見を求められました。
山田理事長(意思決定者)の思いや企業・健保の置かれた状況に寄り添いながら、職域がん検診マニュアルをベースとした、あなたの立場での見解を説明してください。PSA検査のメリットとデメリット、従業員の負担などを踏まえて考えてください。

資料

【解説】前立腺がんについて、1990年代のPSA検査普及拡大以降、その罹患率は上昇しているが、死亡率は大きく変化していない。

資料1

がん情報サービス:国立研究開発法人国立がん研究センター」より引用

【解説】男性の部位別のがん罹患率上位に前立腺がんは入る。

資料

がん情報サービス:国立研究開発法人国立がん研究センター」より引用

【解説】年齢別に前立腺がん罹患率を見ると、50代から増え始め、ピークは70歳代後半である。つまり、働く現役世代の罹患率はそこまで多くない。※ただし、現代日本社会は、働く世代の高齢化も課題となっている。

資料

【解説】男性における、部位別死亡率を見ると、肺がん、大腸がん、胃がん、すい臓がんと比べて、前立腺がんがきわだって高いわけではない。

資料

がん情報サービス:国立研究開発法人国立がん研究センター」より引用

【解説】年齢別に死亡率を見ると、60代から少しずつ増え始め、70代から急に増える。

資料

がん情報サービス:国立研究開発法人国立がん研究センター」より引用

【解説】前立腺がんの生存率は、5年生存率でみても8割を超えており、非常に高い水準と言える。

資料

がん情報サービス:国立研究開発法人国立がん研究センター」より引用

【解説】PSA値は、基準値(4ng/mL以下)を超えても、前立腺がんの発見率は20%程度しかない。

資料

日本泌尿器科学会サイトより引用

動画で学ぶ(7分)

動画はワーク終了後に確認してください。