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さくらサイエンスプログラム 活動レポート2025

研究室ブログ

産業医学の発展のための共同研究プロジェクトを始動 -さくらサイエンスプログラム(JST)を活用した日本と台湾との共同研究-

産業医科大学は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が主催する「国際青少年サイエンス交流事業(さくらサイエンスプログラム)」共同研究活動コース(Bコース)に採択され、2025年11月6日から19日の日程で、台湾の中国医薬大学より大学院生2名、大学生2名および引率教員1名の計5名を受け入れました。(日本側代表:永田智久、台湾側代表Ro-Ting Lin教授)

研究テーマは、「産業保健研究と健康経営の国際実装のための中国医薬大学との共同研究」であり、日本の産業現場での労働衛生管理の実態を学び、働く人の健康障害要因の評価方法や、日本で発展している健康経営の国際展開の可能性について議論を深めました。

11月6日

到着日。

大学に到着後、オリエンテーションと学内施設の見学を行いました。無響室や人工気象室などを見学し、多くの質問が出ていました。

11月7日

午前中は台湾の学生4人、日本のレジデント2人が現在、取り組んでいる研究や修練について発表を行いました。台湾の発表では、先行研究のレビューや計画が体系的にまとめられており、研究の進め方や指導方法について大いに刺激を受けました。
午後は、海底ケーブルを製造する事業所(株式会社OCC 海底システム事業所)に見学にいき、実際に取り扱っている化学物質の気中濃度を測定する実習も行いました。化学物質のばく露リスクを検討する方法について、議論することができました。

11月8日

この日は休日でしたが、皆で門司港・下関、小倉を観光しました。唐戸市場、関門トンネル、門司港レトロ、小倉城、TOTOミュージアムを見学し、台湾メンバーは日本の食・文化を楽しみました。

11月10日

人間工学デー。人間工学研究室の榎原毅教授より、人間工学的健康障害要因の評価・改善方法についてレクチャーがありました。この知見は、11月17日におこなうパン工場での人間工学的評価の基礎知識となりました。

夜には懇親会をおこない、夕日を眺めながら本プロジェクトの成功と今後の発展を祈りました。

11月11日―13日

この日からはインドネシア大学の教員、レジデントが加わりました。
日本の健康経営(森晃爾教授、小田上公法助教、森貴大助教)、台湾およびインドネシアの職場環境改善の良好事例、労働者の睡眠と健康(中田光紀教授、公衆衛生学)についてのレクチャーが行われました。睡眠と健康は、ソーシャル・ジェットラグの影響など、現在問題となっている課題も含め議論し、大きな関心が寄せられました。

11月14―15日

産業医科大学国際シンポジウム2025に参加しました。ハーバード大学のカワチ・イチロー教授をはじめ、国内外から多くの研究者・実務家が参加し、知見の共有とネットワーキングを拡げることができました。

11月17日

この日はパン製造工場(株式会社フランソア ロジスティック部 福岡センター、株式会社ニューイングベーカリー九州 福岡工場)を訪問し、主に人間工学的リスクについて評価しました。
半日かけて職場を見学し、作業環境や作業の詳細を検討しました。

11月18日

本プロジェクトの振り返りがおこなわれました。台湾メンバーが学んだこと、感じたことをプレゼンし、日本メンバーと議論しました。
日本の健康経営と台湾の良好事例では、それぞれの強みと課題が明らかとなり、日本の政策にも反映できそうです。また、職場のばく露要因に関する評価をおこなう取り組みは、今後も継続的に共同研究をおこなっていくことになります。

11月19日

台湾メンバーの帰国日。福岡空港で見送りをしました。今後の更なる交流を近い、それぞれ帰路につきました。

本プログラムの開催にあたり、JST、学内関係部署から多くのご支援をいただきました。無事にプログラムを終えることができ、また、今後の研究発展に繋がる成果もあげることができました。心より御礼申し上げます。