健康経営・統括マネジメント研究会

健康経営・統括マネジメント研究会は、2025年5月に発足した日本産業衛生学会所属の研究会です。

第5回 健康経営・統括マネジメント研究会の予定

2027年2月3日(水)18:00~19:30 オンラインで実施します

内容は、産業保健看護職による、産業保健の統括管理、です

第4回 健康経営・統括マネジメント研究会のご報告

10/3に盛況のうちに終了いたしました!

日時:2026年10月3日(土曜) 13:00~17:30

場所:新橋ビジネスフォーラム

13:00-13:10 開会、代表世話人挨拶

13:10-14:00 一般演題(発表12分、質疑応答8分) 座長:永田智久(産業医科大学)

1. 社員主導の昼休みストレッチ会による健康促進と部署横断コミュニケーションの活性化

○青木妙、横川佐智子、杉田真理、細木淳、瀬戸亜矢子、堀口秀司(協和キリン株式会社)

研究の背景・目的

近年、デスクワークやハイブリッドワークの普及により、運動不足や肩こり・腰痛などの身体的不調に加え、部署を超えた交流機会の減少が課題となっている。健康経営の推進においては、身体的健康の向上だけでなく、従業員同士のつながりや組織エンゲージメントの向上も重要なテーマである。当社では、社員有志が主体となり、昼休みのストレッチ会を2025年11月より毎月実施している。本報告では、参加実績と参加者アンケートを用いて、参加者が自覚した身体面・心理面の変化、および部署横断コミュニケーションに関する認識を記述することを目的とした。

方法

昼休みに、社内会議室を活用したストレッチ会を毎月1~2回、1回30分実施した。健康管理士の資格を有する社員が講師となり、運動経験を問わず誰でも参加できるメニューを実施した。一部の参加者にアンケートを実施し、身体面の変化、心理面への影響、コミュニケーションの変化等を調査した。また、参加部署や参加人数を記録し、活動の広がりを確認した。なお、アンケートは任意回答とし、個人が特定されない形で匿名化し取り扱いを行った。

結果

2025年11月から2026年8月までにストレッチ会を17回実施し、延べ参加者数は300名を超えた。アンケートに26名が回答した。回答者のうち「身体に良い変化があった」「仕事に好影響があった」と回答したのはそれぞれ92.3%(24/26)であった。具体的には、肩こり・腰痛の軽減、身体の軽快感、気分転換、午後の業務への集中のしやすさ、マッサージ利用頻度の減少など、身体面・心理面の自覚的変化が報告された。また、接点の少ない部署の社員との会話や知り合いの増加、業務上の交流のしやすさ、声を掛け合う機会の増加など、部署横断コミュニケーションに関する肯定的な意見が得られた。参加者および参加部署は活動期間中に広がりがみられた。

考察

本取り組みでは、参加者から身体面・心理面および部署横断コミュニケーションに関する肯定的な意見が得られ、参加しやすい運営方法が活動の継続と広がりに寄与した可能性がある。一方、アンケート回答者は26名と限られ、参加者の一部を対象とした自己申告であり、参加前後の比較や非参加者との比較も行っていない。このため、健康状態、業務生産性、エンゲージメントまたは組織内協働への因果的効果は判断できない。なお、昭和医科大学による全国約1万人を対象とした調査では、約3人に1人が腰痛や肩こりなどの健康問題を抱えながら働くプレゼンティーズム状態にあり、国内の経済損失は腰痛で年間約6,480万円/1,000人、首肩こりで年間約4,600万円/1,000人と推計されている(J Occup Environ Med. 2025;67(4):e227–e232.)。肩こり・腰痛予防は、企業だけでなく社会全体の重要な課題である。今後は、参加者数と所属部署数、継続参加率、参加前後の健康指標およびエンゲージメント指標を定義し、評価時点と回答率を明示した上で検証する必要があると考える。

2. 経営会議における健康経営の議題化および産業保健職の参画と健康経営度調査票の評価の関連について

熊川優希1)2), 永田智久1), 小田上公法1), 森晃爾1)

1)産業医科大学 産業生態科学研究所 産業保健経営学研究室

2)UBE株式会社 人事部 健康推進グループ

研究の背景・目的

職場の健康増進プログラムは,個人の健康改善だけでなく,組織全体にも利益をもたらす.プログラムの効果を高めるには,成果の評価や課題の振り返りを行い,継続的な改善に繋げるマネジメントレビューが重要である.マネジメントレビューを高める要素として,トップマネジメントの関与と,産業医等の産業保健職の参画が挙げられる.我が国では,企業に健康増進プログラムを促す仕組みとして,国がリードする健康経営施策が実施されている.この施策では,各法人の取り組みについて,健康経営度調査票を用いて評価しており,回答結果は研究目的で利用可能である. 本研究では,健康経営度調査票の総合スコアと各側面の偏差値を健康増進プログラムの有効性の指標とし,経営レベルの会議で健康増進が議論されていること,さらにその場に産業保健専門職が同席していることが,有効性と関連するという仮説を検証した.

方法

2020年度の健康経営度調査票(大規模法人)の2,495企業を対象とした.説明変数は,健康経営に関する経営レベルの会議の実施の有無,産業保健職の同席の有無について3群に分類した.目的変数は,健康経営度調査票の総合スコアと各側面の偏差値とした.共変量は,企業規模,業種,産業医・保健師・看護師の人数とした.重回帰分析で非標準化偏回帰係数(β), 95%CI, p値を算出した. 有意水準はp値0.05未満とした.

結果

職場における健康増進について経営レベルの会議で議論されていること,および経営レベルの会議に産業保健専門職が同席していることが,健康経営度調査票の総合スコアと各側面の偏差値と有意に関連していることが明らかになった.また,同席者を産業医群と保健師等専門職群に分けた追加解析では,いずれの群も有意な関連を認めたが,保健師群の方が産業医群よりも関連が強く,両者が同席する群で最も強い関連を認めた.

考察

トップマネジメントの関与が健康増進プログラムの有効性と関連するメカニズムとして,人的・財源的リソースが確保しやすくなること,進捗状況や成果の直接的なフィードバックが可能となること,健康増進の重要性を強くアピールできることなどが挙げられる.また,産業医等の産業保健職の参画については,専門家が把握した課題をトップマネジメントに直接フィードバックすることでプログラムの継続的な改善が促進されることが考えられる. また,職種により関連の強さが異なったのは雇用形態や実務関与の違いによると考えられる.トップマネジメントと産業保健専門職の双方がマネジメントレビューの場で協働することが,有効性の高いプログラムを実施することと関連する可能性を示唆された.

14:00-15:30 健康経営における評価尺度の選択と活用を考える

           演者:森 貴大(産業医科大学)

           座長:小田上 公法(産業医科大学)

本講演は, 第3回研究会(2026年5月30日, 日本産業衛生学会の自由集会)の続編として企画された. 健康経営ガイドブック(2025年3月版)でKGIの考え方が示されて以降, 企業が指標を選び, 目標値を定めて評価する機会が増えている. 演者は「質問票の種類と測定」と「評価・効果検証の方法」の2つの視点から留意点を整理した. 後半は, 参加者の回答をその場で集計するツール(Slido)を用いて全体討議を行った.

1. 質問票の種類と測定

同じ概念を測る尺度でも, 設問数, 測定する内容, 得点の形式は異なる. プレゼンティーイズムを例にとると, SPQ(東大1項目版), WHO-HPQ, WLQ, SPS-6, WFun, QQ methodなど約20種類の尺度があり, 結果を単純には比較できない. 「信頼性・妥当性が検証済み」とされる尺度でも, プレゼンティーイズムのどの側面が, どのような集団に対して検証されたかを確認する必要がある.

測定の条件も結果に影響する. 実施時期(繁忙期, 季節), 想起させる期間の表現, 回答媒体, 回答選択肢の段階数, 設問の順番がその例である. また、ワーク・エンゲイジメントでは, 同じ回答者でもユトレヒト・ワーク・エンゲイジメント尺度(UWES)9項目版と3項目版で得点がわずかに異なることが示された. したがって, 設問数や聞き方を途中で変えると, 経年比較や他社比較の前提が崩れうる.

2. 評価・効果検証の方法

目標値は, 自社の経年トレンドや外部基準(業界平均, 全国平均, 健康経営度調査の上位など)との比較から設定されることが多い. しかし, 経年変化の解釈には注意を要する. 母集団の入れ替わり, 回答率の変動, 景気や感染症流行などの外的環境が得点を動かす可能性があるためである. 回答者が少ない集団では, 平均点は偶然に上下しうる. 回答率が高くても非回答者による偏りがないとは限らず, 誰が答えていないかの確認が重要となる. 得点が極端だった集団は, 次の測定で自然に平均へ近づく(平均への回帰)可能性もある.

このため, 単純な前後比較だけでは施策の効果を判断できない. 施策の実施部署と未実施部署で変化の差を見る方法や, 導入前のトレンドからのずれを見る方法などがある. 他社や全国平均と比べる際は, 尺度と得点化が同じか, 集団構成が近いか, ベンチマークの出典が明確かを確認する. さらに, 統計学的な有意差は「意味のある差」と同じではない. 偶然のぶれを超えているか, 本人や現場、さらには経営にとって意味があるかを順に確認する考え方が示された.

3. 目標値の見直し

毎年の達成状況の「確認」と, 目標値そのものの「見直し」は分けて考える. 1~2年の変化は誤差や平均への回帰で説明できる場合がある. そのため, 目標値の見直しは中期計画の区切りなどで行う案が示された. 見直した時期と理由を記録しておくことも勧められた.

4. 全体討議

講演後, Slidoを用いて参加者の実態を尋ねた(回答者56~58名). あわせて質問・意見を匿名で募り, 46件の投稿があった. 投票結果は以下の通りであった. なお, 関係している企業において指標を測定していない回答者は「その他」を選択している. •回答者の立場(58名): その他38%, 医師34%, 保健師・看護師26%, 衛生管理者・作業環境測定士2%. •測定しているプレゼンティーイズム指標(複数選択, 58名): SPQ(東大1項目版)50%, WFun 14%, WHO-HPQ 9%, QQ method 5%, WLQ 2%, SPS-6 2%, その他・わからない33%. •指標の採用理由として最も重視するもの(58名): 設問数が少なく実施の負担が小さい40%, 学術的な妥当性・信頼性が検証されている9%, 健康経営度調査票で例示されていた5%, 他社が使用または業界標準5%, 委託先等からの提案5%, 慣例的に使用5%, その他31%. •目標値の決め方(複数選択, 57名): 自社の前年値・過去の推移67%, 業界平均・全国平均32%, 健康経営度調査の上位企業の水準9%, 経営層からの指示5%, 委託先の提案5%, その他32%. •実際に行った評価方法(複数選択, 58名): 前年値との比較・複数年の推移71%, 部署・事業所間の比較50%, 業界平均・全国平均との比較36%, 集計のみで評価していない14%, 施策の参加者と非参加者の比較12%, その他28%. •目標値を見直す頻度(56名): 決めていない・見直したことがない41%, 中期計画の区切りごと27%, 毎年16%, 評価項目によって異なる16%. 測定している指標は, 回答負担の小さいSPQ(東大1項目版)が半数を占めた. 目標設定と評価は自社の推移が中心であり, 施策の参加者と非参加者の比較まで行っている回答者は12%にとどまった. 目標値を見直したことがない回答者は41%を占めた. SlidoのQ&Aへのコメント投稿では, 「KPI・KGIに対する産業保健職の理解不足・知識不足の可能性」が最も多くの賛同を集めた(11票). 次いで, 目標の水準を決める主体がなく「何となく」の設定になること(8票), 人事部門で結果が止まり経営層に報告できないこと(6票), 指標を測定した後の介入の道筋が描けないこと(6票)が挙げられた. 施策をどの程度行えばどれだけ改善するかの見通しが立たないこと, 健康経営の目的が会社ごとに異なる中で他社比較に意味があるのかという疑問も寄せられた(各5票). 測定の実務では, 対象や目的に応じた尺度の選び方, 設問の順番や実施時期の影響, 尺度を変更した場合の解釈, 比較に使える最新の全国平均・業種別平均を求める声があった. プレゼンティーイズムが全くない状態が目指す姿なのか, 経営側の目標と現場の実感に隔たりがあるのではないかといった, 指標の前提を問う意見もあった(各4票).

討議では, 指標は目的に応じて選ぶべきとの意見が出た. 健康課題を把握して対策につなげる初期評価には情報量の多い尺度が適し, 推移の確認には短く変化を捉えやすい尺度が適する. 目標値が見直されていない現状については, 売上や利益と同じ水準の経営指標として扱われておらず, 形式的な設定にとどまっているのではないかとの指摘があった. 質問票による測定には限界があり, 結果が出た後に何を行い, そのために投資するかを決めておかなければ測定の意味は乏しいとの意見も出された. プレゼンティーイズムという概念自体が経営層や人事部門に十分理解されていないことも課題として挙げられた.

産業保健専門職には, 働く人の健康問題が経営に与える影響を経営者に伝わる言葉で説明し, 経営者がステークホルダーに説明できる根拠を用意する役割がある. 指標の数値に一喜一憂するのではなく, 健康課題を経営上のリスクと便益に翻訳する力を高めることが, 今後の課題として確認された.

15:30-16:00 休憩(コーヒーブレイク)

16:00-17:30 パネルディスカッション

「中小企業で健康経営を推進するために産業保健ができること・すべきこと」

内容:

事業所の99.7%が中小企業であり、約60%の労働者が中小企業で働いています。健康経営は中小企業でも広がりをみせており、健康経営優良法人(中小規模法人部門)の申請件数は右肩あがりですが、中小企業の1%を満たない状況です。

今後、中小企業で健康経営を拡げるためには、どのような取り組みが必要なのか、中小企業で健康経営を取り組むことが労働者の健康や安全、企業経営にどのような効果があるのか、中小企業の健康経営が産業保健に負の影響を与えることがないかなど、フロアを交えて議論します。

座長:永田 智久、倉重 公太朗

演者:小川亮一(東京都職域健康促進サポート事業事務局(東京商工会議所))

中小企業診断士): 東京商工会議所による健康経営アドバイザーの育成と, 東京都の委託で中小企業に専門家を派遣する事業を紹介. 派遣先での支援は, 健康経営優良法人等の認定取得に関するものが大半を占める. 支援前後の従業員アンケートでは, 半年から1年半の期間で生活習慣等が統計学的に有意に改善する例は多くはない. 50人未満の企業は資金と人手が乏しく, 健康管理の知識を持つ人もいない. そのうえ, 健康経営の認定申請のための実施事項と資料が多く, 難しくなる傾向にある. 普及策として, 中小企業の稼ぐ力の向上, 支援者の拡大, 制度の簡素化, そのまま使える分かりやすい資料の整備を挙げた. また, 定期健康診断の事後措置が個人情報保護を理由に行われていない企業が多いことを踏まえ, 健診結果への対応を起点とした段階的な認定と, 健診データを関係者が共有する仕組みを提案した.

演者:福田新治郎(アクトグループ)

医療職の派遣・紹介を行う立場から, 従業員約300人の企業に保健師を派遣した事例を報告した. 当該企業は2019年に健康経営優良法人の認定を取得し, 産業医の提案を受けて2022年に保健師を導入した. 保健師は週1回の勤務で, 従業員面談を中心に活動している. 導入から数か月後, 客観的な情報をもとに経営トップを説得し, 長年実現しなかった敷地内禁煙を実現した. これを機に従業員の信頼を得て, 自発的な相談が増えた. 要受診者の受療も進んだ. 就業規則で受診を必須としたこととの相乗効果である. 出張の多い営業職への継続的な面談が, 生活リズムの改善と営業成績の向上につながった例も紹介した. 産業保健専門職が経営層に直接意見を伝えられる点は中小企業の強みとし, 企業の個性に合わせた関わりと, 経営層・担当者・従業員との信頼関係づくりが要点であると述べた.

全体討議・質疑応答

パネリストの報告を踏まえ, フロアの参加者を交えて活発な討論が行われた. 主な論点は以下の通りである. (Slidoを利用してフロアから質問を受け付けた)

•経営者の関心と姿勢:健康経営が進んでいる中小企業では, 経営者が従業員の健康を気にかけ, 日常的に声をかけている. 認定取得だけを目的とした取り組みは長続きしないとの意見が出された. Slidoにも, 中小企業の健康経営は従業員を思う経営者の「気持ち」に支えられているとの感想が寄せられた(4票). •経営課題との接続:健康経営を抽象的に勧めるよりも, 企業が既に抱える課題に健康施策を結びつけるほうが受け入れられやすい. 安全対策(熱中症対策としての朝食摂取の支援など)や, 人手不足のもとでの採用・定着・高年齢従業員の就労継続がその例として挙げられた. 健康課題を経営と共通の言葉で語る工夫を問うSlidoの質問に対しては, 専門用語を避け, 短く分かりやすく説明することが重要であるとの回答があった. •健康診断の実施と事後措置:個人情報保護を理由に健診結果を集めず, 受診勧奨もしない企業が少なくない. 法的には実施できることを分かりやすく示す資料が必要であるとの意見が出された. 50人未満の事業場にも健診結果の電子報告を求めるなど, 行政による監督の機能を生かすべきとの個人的見解も示された. Slidoでは, 医師の意見聴取と就業上の措置は労働者数にかかわらず義務であるのに, 実施されていない例が多いとの指摘があった. •産業保健専門職と企業の適合:中小企業では, 専門職と企業の相性や熱意の差が活動の成否を左右する. 産業医の選任義務がない事業場に保健師を派遣している例も紹介された. Slidoでは, 中小企業では保健師の人間性がより重要になるとの意見(4票)のほか, 産業医と保健師の役割分担や, 保健師の認知度の低さに関する投稿があった. 中小企業を支援できる質の高い産業保健人材の育成と, 専門家派遣から産業保健サービスへつなぐ流れの必要性も議論された. •50人未満の事業場へのストレスチェック義務化:中小企業側の受け止めや負担感を問う質問が寄せられた(4票). 両パネリストとも具体的な準備はこれからであり, 面接指導を担う医師の不足が懸念されると述べた. 関係機関が連携して対応する必要性が共有された. •当日取り上げられなかったSlidoの質問・意見:最も賛同を集めたのは, 大企業がグループ会社や協力会社に健康経営を促す際, 資源の乏しい相手に同じ水準を求めてよいのかという問いであった(7票). 経営者が必要性を感じていない企業に, 産業保健の立場から健康経営の必要性を説くべきではないとの意見もあった(4票). このほか, 体調を崩した従業員が回復を待たれずに退職に至る中小企業の実態(3票), 健康経営を知らない企業への情報提供の方法(3票), 健診結果のデータベース一元化への期待(3票)が挙げられた.

結論と今後の展望

本研究会を通じ, 健康経営の指標や施策は, 経営にとっての意味が伝わってはじめて機能するという共通認識が確認された. 前半の討議では, 目標値を見直したことがない回答者が41%を占めるなど, 指標の測定と目標設定が形式にとどまり, 経営指標として扱われていない現状が示された. 後半の討議では, 中小企業において, 経営者が従業員の健康を事業継続に関わる課題として捉えられるかが鍵になることが示された.

産業保健専門職には, 働く人の健康が経営課題であることを, 経営者に伝わる言葉で説明する役割がある. この経営層との対話は当然の役割である一方, 実践は容易ではなく, なお工夫を要することが座長から述べられた. 多職種が対等に議論する場を継続し, 実践につながる知見を積み重ねることが今後の課題である.

本研究会からの案内メールが必要な方は、こちら!

本研究会の情報は、このホームページで適宜、アップデートして参ります。

研究会の開催案内等を定期的にメールで送付しております。ご希望の場合は、産業医科大学産業生態科学研究所 産業保健経営学までメールでご連絡ください。メール件名は、「健康経営・統括マネジメント研究会 連絡配信メール希望」としてください。

健康経営・統括マネジメント研究会について

本研究会で目指すしていることを、2025年11月27日に開催しました自由集会で代表世話人の永田智久がプレゼンしております是非、ご視聴ください。(43分の動画です)

配布資料はこちら

第3回 健康経営・統括マネジメント研究会 報告

日 時:2026年5月30日(土)9:00 ~ 9:50

    第99回日本産業衛生学会 自由集会

会 場:自由集会会場3(大阪国際会議場 11F 1101 + 1102)

テーマ:健康経営における評価尺度の選択と活用を考える

座 長:山下 奈々(株式会社リコー)、伊東 明雅(株式会社朝日新聞社)

演 者:森  貴大(産業医科大学)

【抄録】

健康経営・統括マネジメント研究会は、すべての働く人に産業保健サービスを届けることをパーパスとして、働く人の健康と企業経営との関わりや産業保健活動の統括マネジメントの視座で議論することを目的として設立された。健康経営の推進においては、労働者ならびに組織の健康をどのように評価するかが重要な課題である。しかし、健康関連の評価尺度は多様であり、例えばプレゼンティーイズムをとっても複数の測定方法が存在する。さらに、学術的に妥当性が確認された尺度であっても、実務では設問数や運用負担の問題から活用が難しいことがある。本自由集会では、何を選び、どのように活用するかという観点から、現場で活かせる指標の在り方について参加者とともに議論する。

【当日の概要】

本自由集会は、健康経営における指標の選択と活用をテーマに、参加者との双方向ディスカッションを交えて実施した。前半は、演者が、プレゼンティーイズムを題材に、指標選定の視点を報告した。プレゼンティーイズムという用語は「病気や体調不良のまま働く状態」と、「健康問題に伴う仕事のパフォーマンス損失」の二つの意味で用いられており、国内外に代表的な測定指標が複数存在する。指標評価の軸である妥当性・信頼性についても、プレゼンティーイズムには客観的な基準(ゴールドスタンダード)が存在しないという構造的な限界があるため、測定目的に応じて選定する必要があると報告した。

後半はSlidoを用いた双方向討議とし、参加者から指標選定理由、実施時期、回答率、アンケート過多などの実務課題が寄せられた。ストレスチェックとの同時実施は回答率確保につながる一方、ストレスチェックには法令に基づく厳格な情報管理の枠組み(結果を扱える担当者の限定、本人同意のない開示の禁止など)があり、これと他のアンケートの情報管理の枠組みをどう整合させるかという運用上の難しさが指摘された。このほか、実施時期や質問順序(キャリーオーバー効果)、画面上の選択肢の見せ方(提示形式)による違い、設問数の短縮化による評価のばらつきなども挙げられ、経年比較における指標変更には慎重さが求められることが確認された。

議論の結論として、結果を職場改善に還元しないまま調査だけを重ねる「アンケート地獄」は形骸化と回答の質の劣化を招くため、フィードバックサイクルの構築が重要になることが整理された。設問選択にあたっては従業員の回答しやすさに加え、担当者の腹落ち感が重要であり、その腹落ちが乏しいと経営層への説明力も弱まるとの指摘があった。なお、今回は指標の選択に重点を置いた議論であり、評価方法・活用方法については、次回2026年10月3日(土)に開催される研究会にて扱う予定である。

第2回 健康経営・統括マネジメント研究会 報告

日時:2026年2月21日(土) 13:00~17:30

会場:TKP品川港南口会議室ホール4A(東京都 港区港南2-4-3)、および、ライブ配信(zoom)

代表世話人:永田智久(産業医科大学)

<一般演題>

座長:森 貴大(産業医科大学)

1.健康保険組合の医療者による生活習慣病関連疾患における超ハイリスクアプローチの効果

〇佐藤 文彦 1), 2), 眞野 満知子 1), 舟久保 恵美 1)

1) 内田洋行健康保険組合, 2) Basical Health株式会社 

【目的】内田洋行健康保険組合(加入者約6,800名、以下「当健保」)では、事業所には常勤医療職はおらず、当健保の常勤保健師2名で生活習慣病重症化予防を行っている。保健師のみでは医学的に治療介入の判断が困難なケースや、通院していても数値が経年的に高いケース、面談や受診勧奨に応じないケースを認めることから、2021年12月より当健保が糖尿病専門医と顧問医契約し、超ハイリスク該当者減少を目的に超ハイリスク者への積極介入を始めた。  【方法】当健保では、生活習慣病の重症化予防として2014年より各疾患にてリスク分類を行い、各年度の健診結果から高危険レベル該当者を抽出し、受診勧奨を積極的に実施。さらに2021年からは糖尿病専門医の医学的指導の下、保健師が従業員本人へのヒアリングを行うと同時に、自宅や職場の近隣にある糖尿病専門医や循環器・腎臓・内分泌専門医クリニック等を検索し、個別に具体的な受診先の助言も含めた保健指導・受診勧奨を開始した。この効果検証として、2018年度から2023年度健診受診者における血糖のリスク者割合の推移を調査した。 【結果】2018年度健診受診者総数は4379人、2023年度健診受診者は4735人であった。高血糖のリスク者について、高危険レベル該当者は2018年度 55人から2023年度38人となり30.9%減少した。高危険レベル該当者割合は2018年度1.26%、2023年度0.80%であった。 【考察】高危険レベル該当者それぞれの服薬や受診管理状況などについて、保健師が糖尿病専門医から医学的根拠に基づいた医学的アドバイスを、個々の事例それぞれに対して得ることが可能となった。医学的根拠に基づいた具体的なアドバイスが可能となったことは、高危険レベル該当者である従業員にとっても安心感があり、専門医への受診行動や治療への意識向上の動機づけになり、結果的に複数の生活習慣病関連疾患において、高危険レベル該当者数が著明に減少を認めた。健康保険組合において、医師・保健師による最新の医学的根拠に基づいた積極的介入は、超ハイリスク該当者を減少させるうえで、非常に有益であることが示唆された。

2.企業価値向上につながる健康経営に向けて~健康経営戦略マップ・ KGIを例に~

〇国分 茂行 1), 香川拓也 1), 牟田口絵里 1), 最上裕子 1)

1) 株式会社レゾナック 人事労務部健康経営推進グループ

【目的】 株式会社レゾナックの健康経営戦略マップおよびKGI(Key Goal Indicator)を事例に、健康経営と経営戦略や人事戦略などのつながりを紐解き、企業価値の向上につながる健康経営について考察する。 【内容】 健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することで、企業価値や業績の向上が期待される経営戦略の一つである。また自社の健康経営について、健康課題→健康投資⇔健康風土の醸成→健康投資の効果→健康経営の目標の達成→経営方針の実現という、一連のストーリーを可視化したものが、健康経営戦略マップである。 レゾナックでは、パーパス・バリューや経営戦略、人的資本経営等の方針に基づき、2025年10月、健康経営戦略マップをリニューアルした。また併せて、「①健やかな健康風土の醸成」「②従業員のヘルスリテラシーの向上」「③プレセンティーズムの低減」の3つを、健康経営におけるKGIとして新たに設定し、①は知覚された組織的支援尺度(SPOS)をベースとした独自設問3問、②は伝統的批判的ヘルスリテラシー尺度(CCHL)日本後版5問、③はSPQ(東大1項目版)1問で、それぞれ測定している。 KGIの策定にあたっては、一貫性のあるストーリーとなるよう、既存の人事施策との連動を特に意識し、このうち健やかな健康風土の醸成は、「職場の心理的安全性」と連動している。幅広い技術の「すり合わせ」によって製品を生み出し、市場に付加価値を提供するレゾナックにおいて、安心して物が言えない環境は致命的な状況であり、職場の心理的安全性は、付加価値を生み出し、企業価値の向上に必要な極めて重要な位置づけにある。 それを踏まえると、POS(知覚された組織的支援:自分の健康を「会社や上司が大事にしてくれている」と感じられるか)は、心理的安全性と密接に関連する概念と言え、従業員向けのセミナーや全社ウォーキングイベント、経営トップによるメッセージの発信などの一つ一つが、単なる施策ではなく、POSの向上を通じて健やかな健康風土を醸成し、職場の心理的安全性の向上に寄与する取り組みであると言える。 【評価】 健康経営のKGIを、経営戦略や人事戦略、人事施策に至る一連のストーリーに基づいて策定したことにより、経営方針とのつながりを明確にできた。そして、これらを踏まえ、健康経営戦略マップをリニューアルしたことで、健康経営の各施策が、経営方針の実現にどう寄与するのか可視化できた。 【考察】 健康経営戦略マップやKGIは、一度作成したら終わりではなく、定期的な見直しが不可欠と考える。今後はKGIやKPIとの相関や経営方針と健康経営との整合性の検証、そしてレゾナックの会社方針や組織文化をより深く理解し、健康経営戦略マップやKGIを更なるブラッシュアップにつなげたい。

<基調講演>

座長:森 晃爾(産業医科大学)

「産業保健は企業経営に貢献できているのか」

演者:河野 慶三(河野慶三産業医事務所)

本講演は「産業保健は企業に貢献できているか」という根源的な問いを軸に、評価基準(エンドポイント)の設定、経営理念との整合、法的根拠としての安全配慮義務、そして説明責任(アカウンタビリティ)を通じて産業保健の社会的価値を確立する論旨で構成された。

1. 貢献度評価の枠組みと経営理念

産業保健の貢献度は経営者の価値観に左右される。エビデンスに基づく評価を行うには、何を成果とするかという「エンドポイント」を事前に定義し、経営層と合意(すり合わせ)することが不可欠である。売上等の財務指標を直接のエンドポイントに設定することは、産業保健の本質からして不利であり、むしろ「健康は資源である」という理念のもと、その維持・増進のプロセスを可視化する方針設計が肝要となる。 自身が全社産業医を務めた富士ゼロックスの事例では、1996年に「健康は資源」と定義し、「自律と支援」を原則とする基本方針を経営会議で決定した。この方針により、産業保健活動が人事施策やサステナビリティ報告と連動し、構造的な企業貢献として位置づけられた。

2. 統括産業医の役割と実践

「産業保健の統括マネジメント研究会」が産業医学ジャーナルに投稿した10社の事例からは、統括産業医の共通機能が「活動基盤の整備」「PDCAとガバナンス」「スタッフの支援・育成」「経営層との対話」に整理された。 産業保健が企業へ構造的に貢献した成功例として、富士ゼロックスでの取り組みが詳述された。その中核は、単なる健康管理に留まらず、経営・人事・事業基盤と深く連動した点にある。1996年、経営会議決定により「社員の健康に関する基本的な考え」を策定。健康を単なる「状態」ではなく、企業の持続可能性を支える「資源」と定義した。「健康は本人が守り、会社は支援する」という自律と支援の原則を明記し、産業保健を人事方針やグローバルなサステナビリティ報告と合流させた。この「方針策定」自体が、産業保健担当者による企業への最大の構造的貢献と位置づけられた。また、事業を支える「トナー」の健康影響を10年間の前向きコホートで調査し,現行の曝露レベルでは非曝露群との間に有意な差はないことを明らかにした.これは、グローバル展開する基幹事業に対する企業の説明責任(アカウンタビリティ)を果たす上で必須のデータとなり、事業継続リスクの評価に直接寄与した。また、社員への支援である全社員個別面談では,健康診断の有所見率の改善を直接の目的とせず、社員の健康リテラシー向上と相談の閾値を下げることを目指し、約1万5000人に対する全社員面談を継続的に実施した。誕生月健診への移行によりスタッフの稼働を計画化し、面談を通じて仕事の状況も把握することで、現場の課題を人事へフィードバックするループを確立し

3. 機能不全の教訓と法的根拠

産業保健が機能不全に陥った象徴的事例として、産業医も被告となった訴訟が分析された。方針の不在やスタッフ間の関係性破綻、人事のガバナンス欠如が、ハラスメント訴訟と組織の停滞を招いた。 産業保健の目的は「働く人の保持・増進」であるが、実務上の核は労働契約法に基づく「安全配慮義務」にある。管理監督者が部下の健康状態を把握し、適切に措置するプロセスを支援することが、企業の社会的セキュリティ(アカウンタビリティ)の根拠となる。

4. 今後の展望

安全配慮義務の範囲は、疾病予防からメンタルヘルス、プレゼンティーズム対策へと拡大しているように思われる。健康経営が注目される中、経営指標への貢献を目指すのではなく、経営者と合意した説明責任を果たせているかどうかが、産業保健の真の価値を決める。経営理念に基づいた活動を推進し、それが外部に説明可能であるとき、産業保健は十分に「企業経営に貢献できている」と評価されるべきである。

<パネルディスカッション>

「産業保健は企業経営に貢献できているのか~実践と課題について~」

企業における健康管理は、労働安全衛生法上、事業者にその実施が義務付けられている。産業保健が法令で定められた最低基準を守るのみではなく、快適な職場環境を実現し、企業経営への貢献を目指すためには、経営者が産業保健に期待することと産業保健の目的との調整が欠かせない。本パネルディスカッションでは、産業保健が企業経営に貢献することの定義と可能性、および、課題について多職種で議論した。

座長:永田智久(産業医科大学)、倉重公太朗(KKM法律事務所)

パネリストの発表は以下の通りであった。

•山下 奈々 氏(株式会社リコー): 企業経営への貢献における課題として、健康経営度調査の目的や活用の不明確さ、経営層へのアプローチの難しさを指摘した。また、表面的な健康問題の背後にある働き方等の根本課題に対し、関係部門と連携してアプローチする必要性を述べた。

•遠藤 知美 氏(キヤノン株式会社): 創業者が医師である同社の「企業の成長は社員の健康と幸せな家庭生活の上にしか成り立たない」という理念を紹介した。従業員の納得感の醸成や、経営への貢献度の見える化を今後の課題として挙げた。

•野間 幹子 氏(国分グループ本社): 従業員の主観的幸福感向上を目的とした取り組みと、その測定結果を報告した。健康経営優良法人の認定取得が安心・安全の実感向上に寄与したこと、また、精神的サポートの充実が幸福感向上に直結することを示した。

•伊東 明雅 氏(株式会社朝日新聞社): 報道機関における産業保健活動について報告した。健康経営の推進には、法令遵守や安全衛生委員会、職場巡視といった「土台」が不可欠であると強調し、禁煙ポリシー策定による喫煙率低下の成功事例を紹介した。

•倉重 公太朗 氏(KKM法律事務所): 法律家の視点から、健康経営が形式化することのリスク(やらされ感の蔓延や安全配慮義務違反に問われる可能性)に警鐘を鳴らした。健康経営の真の目的は生産性向上ではなく「会社と従業員の信頼関係の構築」であると論じた。

•小田上 公法 氏(産業医科大学): 企業経営(持続的な企業価値創造)と健康経営の関係性を整理した 。知覚された組織的支援(POS)の重要性を解説し、投資対効果は必ずしも貨幣換算である必要はなく、経営者の倫理観が取り組みの根幹であると指摘した。

全体討議・質疑応答:パネリストの報告を踏まえ、フロアの参加者を交えて活発な討論が行われた。主な論点は以下の通りである。

•経営層へのアプローチと効果測定:経営層へ産業保健の価値を伝える難しさが共通課題として挙げられた。投資対効果を貨幣価値のみで示すことの限界が指摘され、POSや従業員エンゲージメントといった定性データや従業員実感に基づく指標を複合的に活用し、経営層と対話することの重要性が確認された。

•健康経営優良法人認定の功罪:外部評価の取得が社内の意識向上や安心感に寄与する一面がある一方、目的と手段が逆転し形式的な対応(順位や偏差値への一喜一憂)に終始するリスクについても活発な議論が交わされた。 •経営者の倫理観と組織風土:経営者の本質的なマインドセットを変容させることは容易ではないが、機会を逃さずエビデンスを示しながら地道に啓発や種まきを続ける必要性が議論された。

•働き方の変化(ジョブ型雇用等)への対応:ジョブ型雇用への移行において会社と従業員の関係性が希薄化する懸念に対し、むしろ組織の公平性・公正性を担保し、パフォーマンス発揮のための手厚いサポートが重要になるとの認識で一致した。

結論と今後の展望

本研究集会を通じ、産業保健は企業経営に貢献できるという強い共通認識が確認された。そのためには、安全配慮義務を土台とした実質的な信頼関係の構築が求められる。また、従業員の実感(POS等)を重視した指標の活用や、人事施策や経営戦略と連動した統合的なアプローチの不可欠性が共有された。 健康経営において最も重要なのは、形だけの制度導入ではなく、組織の中にいる従業員自身がその効果を実感できることであると述べられた。また、従業員の実感や組織風土の向上が、結果として人的資本経営や企業経営に直結しプラスに作用するという本日の議論の総括がなされた。

世話人

代表世話人 永田 智久(産業医科大学)

世話人 伊東 明雅(株式会社朝日新聞社)

世話人 遠藤 知美(キヤノン株式会社)

世話人 倉重 公太朗(KKM法律事務所)

世話人 津野 陽子(埼玉県立大学)

世話人 山下 奈々(株式会社リコー)

世話人・事務局 小田上 公法(産業医科大学)

世話人・事務局 森 貴大(産業医科大学)

顧問 森 晃爾(産業医科大学)

健康経営・統括マネジメント研究会 会則
2025年1月13日

総則

第1条 本会は、健康経営・統括マネジメント研究会(以下、研究会)と称し、日本産業衛生学会(以下、学会)の「定款第48条第5項」および「研究会に関する規程」に則って設置する。

2.研究会の円滑な運営のために本会則を定める。

目的および事業

第2条 本会は、労働者の健康と企業の発展の両立に貢献する産業保健活動のあり方について明らかにするとともに、産業保健専門職がそのための実践的な活動ができるよう、以下の事業を行う。

(1) 研究集会の開催

(2) 国内外の調査研究および学術交流

(3) 研修会等の開催及び教育資料等の発行

(4) その他、本研究会の目的達成に必要な事業

2.研究集会は、年1回以上開催することとし、そのうち1回の開催中に総会を行う。

会員および会費

第3条 研究会の会員は、学会の会員および本研究会の目的に賛同し研究会活動に参加を希望する個人とする。

2.本研究会の会員登録方法および退会については、別に定める研究会細則による。

3.会費については、別に定める研究会細則による。

世話人および代表世話人

第4条 世話人および世話人会について、以下の通り定める。

(1) 会員の中から世話人5名以上をおく。

(2) 世話人の選出は、別に定める研究会規則により行う。

(3) 世話人の任期は3年とし、再任を妨げない。

(4) 世話人会は、代表世話人の召集または世話人の要請により、年1回以上開催され、研究会の活動および運営について決定する。

第5条 代表世話人について、以下のとおり定める。

(1) 世話人の互選により代表世話人を選出する。

(2) 代表世話人の任期は一期3年とし、再任を妨げない。

(3) 代表世話人は、世話人会の承認を得て、副代表世話人を指名することができる。

顧問

第6条 研究会への助言等のために顧問をおくことができる。

2.顧問は、世話人経験者およびその他の有識者から本人の同意を得て世話人会が指名する。

会計

第7条 研究会の会計は、学会よりの助成金、研究会事業収入、その他をもって充当する。

2.研究会の会計年度は、学会と同じく毎年3月1日から翌年2月末日までとする。

学会理事長への報告

第8条 代表世話人は、世話人会の議を経て、以下の事項を学会理事長に報告する。

(1) 活動報告および収支決算

(2) 代表世話人および世話人氏名

(3) その他、世話人会で必要と認めた事項。

2.学会理事長に対する本研究会の継続申請は、世話人会の議を経て代表世話人が行う。

事務局

第9条 本研究会の事務局は、代表世話人のもとにおく。

附則

1. 本規則の変更は、世話人会および会務総会での承認を経て、学会理事会の承認を得るものとする。

2. 本規則は、2025年1月13日より施行する。

健康経営・統括マネジメント研究会 細則

第1条 会員登録及び退会

1. 会員になろうとする者は、氏名、所属機関、連絡先等の必要事項を明記して研究会事務局に申し込まなければならない。

2. 研究会を退会しようとするものは、事務局に申し出なければならない。

第2条 会費

1. 会費は、無料とする。

第3条 世話人の選出

1. 世話人は、本研究会の会員の中から世話人会が推薦し、総会で承認する。

2. 上記の規定にかかわらず、本研究会発足時の世話人は、附則に定める通りとする。

附則

1. 本細則の変更は、世話人会の議を経て、総会で承認するものとする。

2. 本研究会発足時の世話人は、別表の通りとする。

3. 本細則は、2025年3月11日より施行する。

一般演題取扱規程

2026/7/9 永田智久起案 2026/7/9 世話人会にて決定

研究集会(自由集会を含む)で一般演題を募集する際には、以下のルールのもと公募することとする。

・演題の採否の最終決定権は、世話人会が有する

・演題の発表時間は、研究集会ごとに決定する  (参考:通常は、発表12分、質疑応答5分)

・演題を公募する際には、以下の情報の提出をもとめる  演題名、演者(筆頭演者、共同演者を含む)、抄録(研究の背景・目的、方法、結果、考察の構造化抄録)  抄録は日本語全角で1,200文字以内(図表がある場合は800文字以内)。(英語の場合は300words以内)

・利益相反について

利益相反を開示してください。

筆頭発表者は、発表内容と発表者(共同発表者を含む)1人ひとりの利益相反状態(COI)の有無を下記のめやすに基づき判断してください。

誰も該当しない場合には「なし」に、一人でも該当する場合には「あり」にチェックし、(A)から(J)の該当項目の全てにチェックしてください。

なお、(J)の項目に該当し、演題の所属先に主たる所属以外を記載された場合は、下記フォーマットに必要事項をご入力の上、運営事務局までメール添付でお送りください。

学会発表時の利益相反に関するガイドライン

指定入力フォーマット(MicrosoftWord)

利益相反の判断のめやす

発表研究に用いた薬剤、測定機器、器具、質問票、ソフト、システムと関連する、またはそれらの成果を利用する目的で関与する企業・法人組織・営利を目的とする団体等(以下当該企業等と略す)と、演題登録日から過去3年以内に以下に該当する関係がある場合、「利益相反に該当する」と判断してください。

A. 役員、顧問等への就任:当該企業等の役員、顧問職で報酬額が年間100万円以上

B. 株の保有:当該企業等の全株式の5%以上の所有

C. 特許権使用料:当該企業等からの特許権使用料が年間100万円以上

D. 講演料:当該企業等から支払われた日当や講演料が合計年間50万円以上

E. 原稿料:当該企業等から支払われたパンフレットなどの執筆に対する原稿料が合計年間50万円以上

F. 研究費:当該企業等が提供する委託研究や共同研究の研究費総額が100万円以上

G. 奨学寄付金:当該企業等が提供する奨学寄付金総額が100万円以上

H. 寄付講座:当該企業等が提供する寄付講座に所属している場合

I. その他、当該研究とは無関係な、当該企業等からの旅行や贈答品などの総額が5万円以上

J. 主たる所属先以外の記載

・研究倫理について

倫理的な配慮が必要な発表については、その対応を記載。研究倫理委員会で承諾を得ている場合はその記載。

・演題発表後、2週間以内に、「産業衛生学雑誌掲載要旨」を提出していただく。

謝金支払規程

2026/7/9 永田智久作成 2026/7/9 世話人会にて決定

研究集会(自由集会を含む)で講演・シンポジスト・パネリスト(一般演題は除く)として発表を世話人会が依頼した場合は、以下の通り、演者に対して謝金を支払うこととする。

・日本産業衛生学会の会員には、謝金は支払わない。

・日本産業衛生学会の非会員には、謝金として10,000円を現金またはそれに相当する金券により支払う。その場合、受領証明となるもの(受領書、領収書等)を受け取る。

・研究集会(自由集会を含む)で懇親会を同時に行う場合には、日本産業衛生学会の会員・非会員を問わず、演者の懇親会費は徴収しない。