HIAとは

健康影響評価(Health Impact Assessment; HIA)とは、新しい施策、方針、事業などが提案された際に、それに伴う健康影響をアセスメント(事前に予測)し、想定された不利な健康影響を減じ、また健康上の便益を促進するような対策を予め備えるための一連の手続きのことです。

HIAの一般的な手順は、環境影響評価(環境アセスメント)と同様に、スクリーニング、スコーピング、アプレーザル、推奨意見の作成、モニタリングというプロセスを踏まえて実施されます。アプレーザルにおいては、いわゆる論文などの科学的エビデンスのみでなく、利害関係者の経験や知識を重視するという特徴があります。

今回、新型コロナウイルス(COVID-19)の流行に伴い、人類や日本社会が経験したことがない多くの社会的影響が出現しています。このような状況下では、専門家の見識や、直接影響を受ける人々の意見は、重要なエビデンスです。今回のHIAでは、大学の研究者らによるスクリーニングを経て、既にテレワークを導入した企業での変化を経験している産業医の意見をアプレーザルとすることで、網羅的な健康影響を捉えようと試みました。

HIAの目的は、未来を予測することではなく、提案されている施策や事業に関するリスクに対してプロアクティブに備え、健康影響を最適化することです。今回、十分な準備もできず、また急激に大量の労働者がテレワークに突入するという労働のあり方は、これまで私たちが経験したことのない労働環境です。したがって、それに伴う、短期、中期の健康影響に備えるための知恵を多くの方と共有できることを期待しています。

 

 

新型コロナウイルス流行に伴い急遽はじまったテレワークの健康影響へ戻る